【レポート】イプシロンロケットで旅立つ、惑星分光観測衛星SPRINT-Aの動画と静止画、補足説明


画像:惑星分光観測衛星 SPRINT-A 画像提供:JAXA

6月9日に機体公開された動画と写真をまとめました。

■動画




■写真



■質疑応答とまとめ
中継時にコメントで頂いた質問に対する解答です。

Q1:観測高度・軌道の決定要因について
A1:高度が低いと地球からのノイズを受ける。
  高度が高いとヴァンアレン帯からのノイズが入ってくるため、その間900〜1200kmの間の軌道を選択している。
  
Q2:打上げ機がイプシロンである事でメリット、デメリットは?
A2:SPRINT-Aの観測装置は真空度を保っておく必要があるが、固体ロケットのイプシロンは打上げ3時間前まで、ペイロードへのアクセスが可能で衛星のメンテナンスができる。

■簡単な衛星と望遠鏡の構造
ここからは、動画で説明していない部分の補足となります。

今回の「SPRINT-A」は極端紫外線領域で太陽系惑星(主に木星と火星)を観測する衛星となりますが
形が、ちょっと変わっていると思う人が多いかも知れません。
実際愛称などで話題になっている名称は、まさに形から来ています。

立方体の上に、跳び箱をのせて、さらに竹筒を刺しているような構造をしていますが
大きくわけてこんなかんじです。


下の立方体部分は、SPRINTバスと呼ばれ
衛星の基本機能である電力、通信、姿勢制御、データ管理、姿勢制御を行う部分。
衛星バスというものは、通信衛星など数多く打ち上げられる大型のものでは一般的ですが、ミッションごとに特別な軌道をとったり、特殊な構造が必要となる科学衛星ではあまりありませんでした。
SPRINTバスは、小型の科学衛星も基本機能を共通化してコスト削減と
開発期間短縮をしましょうという試みです。

上の跳び箱部分が、今回のミッションを行う極端紫外線望遠鏡の部分となります。
(バス部とミッション部でサーマルブランケットの色がちょっと違うのは、製作を担当したメーカが違うため。)

さて、ミッション部分ですが、こちらも筒の横に箱が付いていたりして
一体どういう望遠鏡なのかが、ちょっと分かりずらいので、簡単に構造を示します。


筒から入った光は、跳び箱の一番下部にある主鏡で反射され
筒の横についている極端紫外線分光装置(EUV)で焦点を結ぶようになっています。

・主鏡
主鏡は口径20cmの反射鏡で、炭化ケイ素製。 これは極端紫外線を良く反射する素材のためです。 
それでも可視光領域などと比べると、反射率は低く、観測する紫外線の強さも非常に弱いため、反射回数を極力抑える設計になっています。
焦点距離が長い為、分光装置が距離の離れた先端部分についています。
(ちなみに、極端紫外線の光はどんな物質も透過しないので、凸レンズなどで集光することは出来いそうです。)

・検出器MCP+RAE
極端紫外線の分光検出する心臓部です。
QAで、観測装置を真空に必要にあるとありましたが
紫外線の検出率を高める為にヨウ化セシウム(CsI)が使用されています。
このヨウ化セシウムは極めて水分に弱いため検出器自体を真空に保つ必要があるそうです。
イプシロンロケットでは3時間前までフェアリングにアクセス出来るので、それまではずっとポンプで真空に引きます。(直前までできるので、構造を簡略に出来るメリットもあるとのこと)
検出器には蓋がついており、軌道上で衛星の残留ガスの処理をして、十分に真空になった後に開けることになります。

望遠鏡筒の部分にもホコリの侵入を防ぐ為、蓋がかぶせてあり、打上げ3時間のフェアリングをしめる際に外します。

・視野ガイドカメラ FOV
SPRINT-Aでは、木星のオーロラや火星を観測する予定ですが
姿勢制御に5秒角の精度が必要になります。
一方、SPRINTバスの姿勢制御の精度は120秒角となります。
バス部の姿勢制御装置を精度良いものにすると、それだけでコストが高くなってしまう為、
ミッション部にガイドカメラを設置。
画像分析をして、姿勢位置をバス部にフィードバックし、姿勢精度を高める仕組みとなっています。


ミッション期間は1年目標となります。
太陽が活動期の今のタイミングで開始できると、より太陽風と惑星大気、惑星磁気活動の関連が分かるようになるそう。
打上げ後はまず、木星観測を行います。ハッブル宇宙望遠鏡との共同観測も予定されています。次に火星、金星を観測する予定です。
ミッションが延長できるのであれば、土星や水星も狙いたいと希望している研究者もいるそうです。
極端紫外線の天文衛星は世界初となりますので、見てみて新発見と言うこともありそうですね。
打上げは2013年8月22日予定、イプシロンロケット試験機で軌道に行くことになります。


■参考資料
第1回小型科学衛星シンポジウム 次世代小型科学衛星電源系機器要素技術の実証計画 http://www.isas.jaxa.jp/home/rikou/kogata_eisei/symposium/1st/koto/003_tsuchiya.pdf (注:2011年の資料です)

第14回惑星圏研究会  The Performance of the EUV Spectroscope (EXCEED) Onboard the SPRINT-A Mission http://pparc.gp.tohoku.ac.jp/collegium/proc/sps2013/sps2013_06_yoshioka.pdf
(補足:ミッション部の中や主鏡、検出器の様子が写真でわかります)

ISASニュース 2012年11月号 http://www.isas.jaxa.jp/ISASnews/No.380/ISASnews380.pdf


JAXA大気球実験の放球トラブルに関しての状況


 画像 大樹航空宇宙実験場 飛行船の格納庫 撮影:NVS

2013年の5月中旬より、北海道の大樹航空宇宙実験場町は、JAXAの第一次気球実験期間中となっています。

6月5日早朝に行った、「B13-01大気球を利用した微小重力実験(燃焼実験)」の開始時にトラブルが発生しました。

大気球の放球直後に気球部と搭載機器部の間の切離しロープカッターが誤動作し切断され、
気球のみが上昇しました。
切り放し機構は本来、実験高度まで上昇した後、微小重力実験を行うために搭載機器を落下させるために作動するものです。

この切り放し機構と連動して動作する、大気球の排気弁の開放と気球頭部の破壊を切り裂く
動作が働いたため、大気球はすぐに地上に下降し、送電線に絡まりました。
幸い停電などの影響はなく、北海道電力と協力して送電線から取り外されています。

大気球の大きさは、最大で30万立方メートル 直径91mとなり
2013年度の大気球実験では最大サイズでした。



参考となりますが、過去行われた三陸大気球観測所での大気球実験
気球本体からかなり下方に実験機器がぶら下がっていることがわかります。 画像提供:JAXA



B13-01実験は、微小重量環境中でどのように気化したガスが燃焼するかを観測する実験
で、2012年に実験を行う予定でしたが、気象条件が合わずに2013年度実験となっていました。
大気球が上昇しきる前の段階でケーブルが切り離されたため、搭載機器自体は上昇せず、ダメージはないそうです。

期間中の実験でまだ未実施のものには、他に
B13-02 気球搭載望遠鏡による惑星大気観測
B13-03 火星探査用飛行機の高高度飛行試験
がありますが、第一次気球実験期間中に実験を再開するかは
ケーブル切り放しの原因と対策調査中のため、まだ結論が出ていない模様です。


別の実験場での話となりますが、スウェーデンで7月に実験を行う
低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト(DSEND#2)でも、
実験機を高度30kmまで上昇させるために大気球を利用しますが、
こちらは大気球準備と放球管理に関して、スウェーデンの実験所チームが主体で行う為
直接的に影響はないとのこと。

■関連情報
JAXA 2013年度第一次気球実験におけるB13-01実験について http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0605.shtml

NVS 大樹航空宇宙実験場における実験計画等説明会 http://blog.nvs-live.com/?eid=105

十勝毎日新聞社ニュース JAXAの大気球落下 電線に絡まる http://www.tokachi.co.jp/news/201306/20130605-0015798.php


【レポート】月面X lunar X

年に何回かクレーターの影の具合で月面にXの文字が浮かび上がる現象。
「月面X」または 「lunar X」などと呼ばれています。

NVS関東の装備で撮影が出来ることが分かった為、
事前告知無しでしたが放送を実施しました。



【撮影】NVS関東 家猫 400mm望遠鏡+バロー2倍で撮影

ニコニコ生放送 
月面に浮かび上がる謎の文字X http://live.nicovideo.jp/watch/lv123204657


【レポート】星出宇宙飛行士帰還会見と小型衛星 #nvslive


 2012年7月17日からISSで長期滞在を行っていた星出宇宙飛行士。
4ヶ月間の滞在を終え、11月19日にソユーズ宇宙船でカザフスタンに帰還しました。
その後、星出宇宙飛行士はアメリカ、ヒューストンに戻り、リハビリを開始しています。
11月29日にTV電話会議システムでの記者会見がありましたので
NVS質問部分の動画を公開します。

・ニコニコ動画

・youtube
 星出宇宙飛行士の帰還後TV会見と小型衛星

星出さんは1ヶ月半のリハビリをヒューストンで行い
年明けに一時帰国をする予定となっています。

会見全体に関してはNVSBlogのこちらを参照。

また、打上げ前の小型衛星放出機構と衛星に関しての動画は


今回、小型衛星に関して質問しましたので、日本の小型衛星3基の状況と
情報源に関して紹介します。

■WE-WISH

明星電気が開発
・地域技術教育への貢献と小型衛星取得データの利用促進
・超小型熱赤外線カメラの技術実証
地元のアマチュア無線クラブなどと協力して運用中です。

明星電気アマチュア無線クラブ → https://sites.google.com/site/jq1ziijq1zij/

■RAIKO


和歌山大学・東北大学・東京大学が開発
他の小型衛星より1サイズ大きい2U型衛星(10cm×10cm×20cm)
2GHzと13GHz帯の送信機をもち、高速データ通信の実験を行っています。
今後、大気圏突入前には、幕の展開を行い、大気減速早期突入の実験も行います。

RAIKOのtwitter → @RAIKO_CUBESAT

■FITSAT-1 と LED 発光実験

福岡工業大学が開発
5GHz帯での高速送信実証実験を中心に行います。
また、高輝度のLEDを搭載しており、衛星を発光させることが可能。

その、FITSAT-1に搭載されている高輝度LEDを発光させて
夜空にモールス信号を表示させようという実験を
2012年12月12日から行うようです。

発光は地上から見て8等級ぐらいの明るさになるそうで
残念ながら肉眼の観測は難しいとのことですが
望遠鏡、双眼鏡を利用すると観測が出来そうとのこと。

詳しくは、有志の方が作られた「FITSAT-1観測ガイド」に観測方法を含めて書かれています。
また、実験の正式な時間や実験のGoNOGOに関しては、FITSAT-1のページをご覧下さい。

FITSAT-1のtwitter → @fit_sat1


ISSから放出された小型衛星が大気圏突入するまでは半年程度
となっていますので、無事に実験、運用ができますように。

【レポート】マイクロマウス2012の走行動画をアップしました

2012年11月24日〜25日に行われたマイクロマウス2012 
の中継を視聴して頂きありがとうございました。

二日間中継をさせて頂きましたが、マイクロマウスはメカトロニクスの題材として
非常におもしろく
マシン制作者もみんな楽しそうに大会に臨んでいたのが印象的でした。
一視聴者視点でも、本走行の際のマシンの疾走感はとてもエキサイティングで
飽きませんでした。

さて、各競技毎の上位、入賞マシンをピックアップしまして
動画をまとめておりますので、良い画質でしっかり見たいという方は是非どうぞ。

【 マイクロマウスクラシック競技 フレッシュマンクラス 】



【 ロボトレース競技 】




【 マイクロマウスクラシック競技 エキスパートクラス 】








【 マイクロマウスハーフサイズ競技  】




【 マイクロマウス2012 各競技最速タイム集 ダイジェスト  】






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