ロケット打上げに伴う夜光雲についての考察
日没から明け方に掛けての時間帯にロケットが打上げれれたときに、
ロケットの噴射煙などが光って見える「夜光雲」が観測される場合があります。
この夜光雲は詳しく研究されている訳では無いらしく、観測できる条件がハッキリしない為、
メモとして本記事を投稿します。
画像:イプシロン3号機 打上げの際に観測された夜光雲 (c)nvs-live.com
夜光雲について
夜光雲(やこううん)は中間圏にできる特殊な雲で、日の出前や日没後に観測される気象現象である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E5%85%89%E9%9B%B2
とされ高層大気で発生する自然現象と定義されているが、
ロケットの噴煙が太陽光を反射する事でも出現する事が観測されている。
また、ロケット由来の夜光雲についても、
1)ロケットの噴煙が太陽光を反射して見えるもの(仮称:ロケット夜光雲)
2)ロケットからの排出物が大気と反応して発光するもの(仮称:ロケット励起発光雲)
の2種類があるものと推測される。
ロケット夜光雲
発光原理は気象現象として発生する夜光雲と同じく太陽光を反射することで発光する。
その為、観測は日没、日の出前の日射が可能なタイミングに限られる。
今日(2017年1月24日)の夕方に種子島から打上げられたH-IIA 32号機に由来するロケット雲の夜光雲です。茨城県東海村からもキレイに撮影することができました。 pic.twitter.com/K0lCU9oABS
— ぐるぐるうづまき (@guruguruuzumaki) 2017年1月24日
ニコ生の配信事故ってしまったのですが、予想通りの見え方でした。
— ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ (@nvslive) 2018年1月18日
事前の調査で内之浦周辺の二段点火時の高度135km地点の日の出時刻は6:09。
Youtubeのキャプで確認すると6:06の打上げ3:20後当たりから夜光雲が出現しています。#nvslive
ちゃんと配信できていればと悔やまれます… pic.twitter.com/v4Or0mtOs7
ロケット励起発光雲
日射の可能性が極めて低い場合でもロケット由来の夜光雲が観測される場合があり、
夜光雲が自家発光していると推測される。
この場合、原理的にロケットの噴煙物が水になる液体水素、液体酸素の液体ロケットよりも
燃焼促進の為のアルミ粉末などを含む固体ロケットの方が出現率は高いと推測される。
イプシロン2号機の2段目に伴う例の雲状のモノについての質問、JAXAより返信あり。
— ぐるぐるうづまき (@guruguruuzumaki) 2016年12月27日
イプシロン由来か断定はできないが、仮にそうだとすると、2段モータに含まれるアルミナ粒子が地上からの光を反射して光って見えるように見える可能性あり、とのことです。 pic.twitter.com/rFq0OBoAFO
また、赤や青の発光が観測される場合があり、これは、噴射煙に因らず、
ロケット分離火薬等の放出物による自家発光、もしくは励起発光の現象が起こっていると推測される。
この場合、太陽光を反射している訳では無いので、完全な夜中でも観測される可能性がある。
とりあえずモニタのキャプチャ
— ぐるぐるうづまき (@guruguruuzumaki) 2018年1月17日
夜光雲なのか発光なのか。
赤や青の色もなんでだろ? pic.twitter.com/lVcZwhQemv
過去に実験の目的で大気と反応するリチウムガスをロケットから放出し、上層大気を観測する実験が行われた事もある
参考:ロケットから放出されたリチウムガスによる赤色雲
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2012/0112_s520-26.shtml
参考:観測ロケットS-310-42号機/S-520-27号機打上げ結果について
http://www.jaxa.jp/press/2013/07/20130721_s-310-42_s-520-27_j.html
2018/9/23に予定されているH-IIBロケット7号機での夜光雲の観測の可能性について
H-2BF7打上げ 2:52'27"
種子島日の出 6:04
沖縄日の出 6:18
2段分離高度280kmの日の出 4:15(訂正)
2段分離高度190kmの日の出 4:27
以上のデータから、ロケットの噴射煙に太陽光が反射する可能性は低いが、
H-2A32号機の際、打上げ50分後に観測例があるため、
2段分離の高層大気の風向きによっては 83分後の4:15頃 (訂正) 95分後の4:27頃に何か見える可能性否定できない。
ただし、H-2B7号機は南東向きの打上げとなっており、
東向きの打上げだったH-2A32号機よりも更に条件が悪い事に留意。
可能性として、1・2段分離火薬、フェアリング分離火薬による発光が発生するならば
日照に因らない為、観測できる可能性はある。
ロケット夜光雲が多数目撃されたH-2A29号機、32号機、共にSRB-Aは4本装備された204型だった為、
夜光雲の観測に大きな影響があるのは固体ロケットの噴煙だけの可能性もある。
Special Thanks
@guruguruuzumaki
宇宙クラスタ諸氏
分からない事が多いため、皆さんも観測、考察してみると面白いですよ。
- 2018.09.22 Saturday
- 取材レポート Report
- 19:44
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- by nvslive